綺麗なカップル、微笑む彼氏、はにかむ彼女。
ずっとずっとずっと憧れていた二人だった。
約三年も高校生をしてきた。
記憶に縋る生き方よりも明日を見る人でありたい。
ああ、どうして俺の目標は黒髪の男なのか。
彼はつくづく目障りな存在だ。
だから小細工して染めている髪が闇の中に馴染んでいく意味を正確には知ることができない。
『おーつか君ばいばい』――好きを聞かないフリするあの子、『またな、おーつか』――鼻血を垂らしても痛がらないあいつ、
二人の残響を耳に飾り、失恋二連勝の俺はローファーを履く。
無理矢理にでも一歩踏み出したなら、きっと未来は変われるはずだ。



