翔の私を抱き締める腕に力がこもる。

「翔は芸能人で……きっとみんな反対する」

「答えになってない!俺は、好きな女には好きだと言いたいし、それに、好きな女も守れないような男にはなりたくない」

「翔……」

「分かった。質問が悪かった。変更する」

翔は私の顎に手を添えて持ち上げると、いたずらっこのような瞳で、私の心の奥まで見透かしているかのように質問を重ねる。

「俺のこと、好きか、とっても好きか、死ぬほど好きか、答えて。それ以外の回答は却下」

「何、それっ……」

思わず噴き出してしまいそうになる。

「やっと笑った」

翔が柔らかく笑う。

「俺は綾乃さんのその笑顔が死ぬほど好き」



翔……


翔……!




もう気持ちを隠し切れない。

これから先、もしかしたら辛い恋が待っているのかもしれない。

でも……

私は翔を抱きしめ返すと、目を瞑り、めまいがしそうな幸せの中で、「死ぬほど好き……です」と消え入りそうな声で何とか返事を返した。