翔の目がまんまるになって驚いてる。

「綾乃さん、えっと、その回答、まじで想定外なんですけど……。その、無理って何が無理なの?」

私は栄さんから言われた言葉を思い出す。

「住む世界が違い過ぎるもの」

「一緒の世界だよ。こうやって生きてる」

「あの世とこの世の違いじゃなくて。翔は芸能人で、私は一般人で……」

「俺のこと、嫌い?」

まるで捨てられそうになるちっちゃな子供みたいに翔は尋ねる。

私は慌てて首を横に振る。

「じゃ、好き?」

固まる私の肩を翔が掴み、私の顔を真っ直ぐに見た。

「栄に何を言われたか分からないけど、もし、綾乃さんが俺のこと好きだって言ってくれたら、俺、闘うから」

私は翔の言葉に伏せていた瞳を上げた。

「もし、嫌いだと言うんだったら……」

翔がふっと笑う。

その瞳が優しくて、思わず泣きたくなる。

「好きになってもらえるまで、言い続ける」

翔は私を引き寄せると、優しく抱き締めた。

「綾乃さんが、好きだ。

 好きだ。

 好きだ。

 好きだ。

自分では、どうしようもないくらい、綾乃さんのことが好きだ」


翔が私をぎゅっと抱き締める。


「俺のこと、好きだって言ってくれるまで、離さないよ?」