1人笑えない光は、2人のテンションについて行くことができなかった。

大人と言うヤツは本当によくわからない。

教師2人はおかしくない――むしろ、おかしいと思う方が間違っている――のに、それを大笑いしている。

「まあ、住むところがないんだったら提供しますよ?

蒲生先生を外に置いておく訳にはいけませんし」

そう言った永田に、
「ああ、ありがとう」

蒲生がお礼を言った。

「川上、いいよな?」

永田が許可を求めてきたので、
「いいですけど…」

光は首を縦に振ってうなずくしか方法がなかった。

相手は空手部の顧問である。

彼を見捨てたら、“薄情者”のレッテルを貼られるのがオチだ。

何より、先生と言う絶対的な存在に逆らえない。