いつから自分たちの中は、こんなにも冷え切ったものになってしまったのだろうか?

――一緒に食べよう

杏夜にそう言いたいのに、言えない自分がいる。

どんなに料理がおいしくても、相手がいないと意味がない。

(あいつは、どうなんだろう)

頭の中に浮かんだ莉緒の存在だった。

彼女と一緒に食べる料理は、格別にうまいだろう。

話も弾んで、料理のことなんて忘れてしまうかも知れない。

(――北原…)

杏夜が目の前にいることも忘れて、莉緒に助けを求めるように心の中で彼女の名前を呼んだ。