いつものように目覚め、いつものように支度をする。

当たり前と化した日常だが、気分がいいのは彼女のおかげだろう。

蒲生はそんなことを思いながら、自室のドアを開けた。

リビングからテレビの音が聞こえたので、蒲生は誘われるようにリビングへと足を向かわせた。

「杏夜」

ソファーに座ってテレビを見ている杏夜がいた。

珍しい光景だった。

いつもは自分が目覚めた時には仕事に行った後なのに。

今日はそこに彼女がいること自体が珍しい。