バタンとドアが閉まった音がした瞬間、
「もーっ!」

光は情けない声を出してテーブルに突っ伏した。

恋はしたいと思ってた。

彼氏が欲しいと思ってた。

自分もそう言う年頃だから、憧れていたのは当然だった。

けど、その相手がまさかの永田だ。

好きな人に恋をしている永田である。

自分が入れる隙間なんて、どこにもない。

何で好きになった相手が永田なのだろう?

彼は先生だったはずなのに。

彼は顧問だったはずなのに。

同居人だった、はずなのに。

「――バカじゃないの、わたし…」

呟いた声はすぐに消えた。