「帰るぞ」

パニック状態になっている光に、永田が言った。

「――えっ…」

声を発した光に、
「何だ、帰らないのか?」

永田が言った。

「いや、帰ります!」

光は慌ててベンチから立ちあがった。

永田もベンチから立ちあがると、スタスタとその場を去って行った。

光は彼の後を追うように、急いで行った。

ありえないはずなのに、好きになってしまった。

好きな人がいるのに、恋をしてしまった。

これから始まる片思いに、光は胸を痛めるのだった。