「よく言えました、光」

永田の大きな手が光の頭をなでた。

にやけそうになる口を隠すため、光はマグカップに口をつけた。

同居、もとい同棲するにあたって追加されたルール。

それは、“2人っきりの時は名前で呼ぶこと”だ。

学校では先生と生徒、顧問とマネージャーの関係を続けているものの、家に帰れば恋人同士だ。

なるべく名前で呼ぶことを心がけているものの、さっきみたいに先生とうっかり呼んでしまうこともある。

今までが今までだったから仕方がない。

「おもしろかったなあ、今の千原ジュニアの話」

そう言った永田に、
「えっ…そ、そうですね」

光は言った。