youthful days~男女7人青春物語~

彼女がくるのはここしかない。

そう思いながら、蒲生は世界史準備室のドアを開けた。

「――北原…」

彼女は眠っていた。

椅子に座ったまま、莉緒は寝息を立てている。

やれやれと息を吐いた後、蒲生は莉緒に歩み寄った。

こんなにも近くにいると言うのに、莉緒は目を開けようとしない。

よっぽど、深い眠りらしい。

「莉緒」

彼女に向かって手を伸ばした瞬間、その手をつかまれた。

つかんできたのは、莉緒だった。

そのまま躰を引っ張られたと思ったら、唇が何かに触れた。

莉緒の唇だった。