「何だよ、鍵屋派かよ」

永田がふてくされたように言った。

「すみませんねえ、鍵屋派で」

皮肉混じりに返した後、光は空を見あげた。

大きな花を咲かせては、すぐに消えて行く花火。

反対なことを言ったのは、少しでもこの気持ちを忘れたかったからだ。

永田への片思いを消したかったからだ。

彼には好きな人がいるから。

好きな人がいるから、かなわない。

「たーまやー!」

「かーぎやー!」

叫び終わったら、この気持ちが消えていますように。

心の底から願いながら、光は何度も叫んだ。