車内に漂うのは、熱い吐息だけだった。

柔らかな莉緒の胸に顔を埋めながら、蒲生は情事の余韻に浸っていた。

濃厚で、どこまでも溺れて行ってしまいそうな時間だった。

自分に反応してくれる莉緒が嬉しくて、このまま死んでもいいとさえ思った。

「――弘一さん…」

莉緒の手が頬に触れたのと同時に、チュッと唇が重なった。

「――わたし、もう死んでもいいって思った…」

莉緒の唇が動いた。

「弘一さんと一緒なら、死んでもいいって思った」

「――莉緒…」

ギュッと、蒲生は強く莉緒を抱きしめた。

もう2度と離さないように。