ゆっくり目を開けると…。


そこには敬太も誰も居なかった。


けど下を見ると敬太がうずくまっていて…



その上にはあの、吉川隼人が馬乗りになっていた。



…え……何でいんの…?



「―…っ…。…てめぇ何しやがるんだよっ!」


敬太の頬は赤く腫れ上がっていた。



「お前こそ何してんの、こいつに?」



………?

…もしかして吉川隼人が敬太を殴ったの…?



こいつがあたしを助けた?
…昼あんな冷たくしたのに?



「…何?彼女とキスしようとして何が悪いの?」



「あきらかに嫌がってただろ」



「………さぁ?」



「違う、あたしはこいつなんかの彼女じゃない!」って言いたいのに声が出ない…。



助かったっていう安堵感しか感じない…。



「君さ、まだ分かんないの?1発じゃ足りない?」

吉川隼人が敬太の胸元のワイシャツを片手で引き寄せて耳元で囁いた。



その目はとても冷たくて冷酷で……



…昼間見た彼とは別人だった。



今はもうこの姿を見ても恐いっていう事しか感じられなかった。