けど敬太はあたしの声なのか聞こえない様。



むしろ、さっきより掴む強さが強くなっている。


痛い……。



「…痛いっ、離して!!」

そう言ったのに、あたしの腕をぐいっと引っ張った。

今、あたしは壁に手首を押さえ付けられている。



「…いやっ!やめてっ!!」


敬太はあたしの手首を一つにまとめて顔を近づけてきた。



やだ…このままだと、こいつに無理矢理キスされる…。


…そんなの嫌…!


だから嫌いなんだ。

男なんて。


女の事を何だと思ってんの!?



「…やめて…」


「…何で美羽…?」


敬太との距離は約2cm。


…こいつの吐息がかかって気持ち悪い。



「…美羽…」


段々と近づいてくる敬太の顔。


……やめて…。


…気持ち悪い。



…気持ち悪い。




…気持ち悪いっ!



「…やめてーーーーっ!!!」


あたしは目をギュッとつぶった





―ドカッ


響き渡る鈍い音。