19番目の彼氏

さすがの敬太もこの吉川隼人をみて何も言えなかった。



「……分かった…分かったから…どけよ…」



「…本当か?もう二度とこいつに近づくなよ」


彼は低い声でそう言った。


「あ…あぁ……」


そう言って彼は走って去っていった。



……あたし…助かったんだ。


……良かった…。



「…おい大丈夫か?」


あたしを覗き込む様に顔を近づけて聞いてきた。


不覚にも覗き込んできた彼をカッコイイと思ってしまった。



…よく考えれば今このあたし達は…キスする体勢と角度で…しかも見つめ合っている。



………やばい…。


…あたし今…超ドキドキしてる…。



収まってよ…あたしの心臓…。



…お願いだから……。



だって、この距離だからこれ以上ドキドキしたら聞こえちゃう。



「…だっ…大丈夫…だから…」



「お願い、離れて」って言おうとして止めた。


…だってドキドキしてたり免疫がないって思われてもやだし。



…まぁドキドキしてるのは本当だけど……。