そう言って、和尚は荷物をまとめて、黙って教室を出て行った。

「おい、逃げるなよ。和尚。ぼくらは――」


和尚が廊下で肩の向こうから、ぼくを見た。

「友だちだろ?いつかまた、一緒に笑えるよな?」


和尚は、口元をぐっと噛みしめて、ぼくを睨んだ。

「たぶん」


そして、廊下を曲がって消えていった。



ぼくは、自分に課せられた役割の大きさに、ただ呆然とするばかりだった。

そして、ふと気がついて、教室のごみ箱の中身をのぞいてみた。

ごみ箱の中からは、子どもと大人の切り絵が、バラバラと夢のあとのように出てきた。