「まあ、遊んでる暇はどっちにしろ、ないだろ」

そんなことを言いながらも、ぼくと矢野は授業のあとで、ちょっと祭りをのぞいていこうぜと、にぎやかな太鼓の音がする小さな寺の境内の方へ歩いていった。


たくさんの屋台のなかで、浴衣姿の女の子たちがはしゃいでいるのが目にとまる。
「いいよなー」と言いながら、男二人のぼくらは、勉強疲れのあたまをさわやかな女の子の浴衣姿で癒していた。


突然、花火がパンと上がる。
わぁっと、人々が声を上げる。


ぼくは、ぼんやり花火の連発を見ていた。
そのとき、ぼくはふと、花火は綺麗だけれど、すぐに消え落ちてしまう、なにかはかないものだと思った。