「いつか、ぼくの手に結花が戻ってくることがあるんだろうか…」



愛子との別れ際、ぼくらはハイタッチをした。

「えへへー。失恋組同士、仲よくってことでこれからもよろしくね!」

ぼくは酔っ払いの愛子に手を振って、それから一人歩道橋を渡っていった。


すっかり暗闇になってしまった空を見上げながら歩くと、チカチカ光る飛行機がゆっくり横切っていくのが見えた。
ぼくは、パイロットになる夢は捨てていなかった。
それにはまず、大学だ――。


和尚、ぼくだって、いつまでも負けてやしない。
結花になにかあれば、ぼくが許さない。


ぼくは、自分が一人の男として、強くなっていくことを決意した。