新しい中学校への初めての登校。

9月に入ったとはいえ、まだまだ日差しは強い。

この空も太陽も雲も、すべて私を応援してくれてるんだ、と思えば
少し気が楽になった。

学校に着くまでの最後の信号、だんだんと周りに人が増えていく。

私が信号を待っていると、

「あかね~、2学期も始まったんだし、里中君に告ったら?」

「ちょっと声でかいってー!」

となりの女の子の会話が聞こえてきた。

へえー、轍平、もてるんだ。

確かに顔もかっこいいし、話もおもしろい。

私はなんだか嬉しいような嬉しくないような

よくわからない気持ちになった。


学校に着くと担任の先生とあいさつをすませた。

足立先生といって女の先生でいい人そう。

私は2年3組だと言われた。

轍平は同じクラスかな?


足立先生と一緒に教室まで歩いた。

先生が先に教室に入る。

「はーい静かに!
 今日は転入生がいるから!
 自己紹介してもらうから、みんなしっかり聞くこと!」

私は教室の外で大きく深呼吸してから教室に踏み出した。

「はじめまして。
 名古屋からきました、渡辺そらです。
 今日からよろしくおねがいします。」

私は教室を見渡す。

そこには轍平の姿はない。

なーんだ、クラスは違うのか。でも、友達作るのは得意だから平気。

と、心の中で強がりを言ってみる。

言ったところで不安は消えなかった。