『あの子って?』



尋ねると、千里は自分がじっと見つめていた校舎の教室を指差した。



私と甲斐は教室に近付き、窓から中の様子を眺めた。
中学三年生の教室らしく、みんな卒業間近ということもあり、様々な生徒がいた。



ある生徒は卒業が悲しいのか、元気がないように見える。
またある生徒は高校が楽しみなのか、コッソリ雑誌を読んでメイクを勉強していた。



『千里ちゃんが言っていた子は…』



『この女の子ではないですか?』



甲斐が見つけた窓際の一番後ろに座る女の子。
可愛らしく表情もころころ変わり、無邪気な子。
授業中だけど隣の席の女の子とコソコソお喋りしていた。



『この子が千里ちゃんが許せないって言っていた子かぁ…何があったのかな。』



『年頃ですから些細な事で傷付きますからね。お嬢様、くれぐれも失礼な発言をしないように気をつけてください。』



『わ、分かってるよ!!』



馬鹿にしてるな、甲斐の奴…っ!!
絶対完璧にこの仕事、こなしてみせるんだから!!



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