『確かこの辺りなんだけど…』



私、天国案内人の優衣は今日もお仕事。
近くに見える中学校の桜が少しだけ咲いています。
季節はもうすく春。



『お嬢様、多分あれだと思いますが。』



甲斐が指差した先に、中学校の裏門に一本だけある桜の木。
木の枝に一人の女の子が座っているのが見えた。



間違いない。
あの子がさまよう魂だ。



私達は女の子に近付いた。
女の子は私達を見て驚くこともなく、軽く会釈をした。
幼いけどどこか大人。
そうゆう印象を受けた。



『私、天国案内人の優衣。こっちは甲斐。あなたは?』



『…千里(ちさと)です。この中学校の三年生でした。』



『千里ちゃん、どうしてこの場所に留まっているの?』



天国案内人のマニュアルその壱。
とにかく話を聞く。



千里はただじっと校舎を見つめていた。
まだ幼いはずなのに、何か強い想いを抱いてる。
優衣はそう思った。





『…あの子が許せないの。』




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