慌てて顔をあげると、優しく微笑む顔が私を見つめてた。

「俺の方こそ、ごめんなさい。痛くなかったですか?」

「だっ…大丈夫ですっ!ごめんなさい!ありがとうございました!」

見惚れてたのに気付かれたくなくて、ごまかすように挨拶をした。


「それじゃ。」
「はいっ!ありがとうございました!」

そう言って、彼はその場を離れようとした。
私も急がなきゃいけないことを思いだし、もう一度挨拶をして、その場を後にした。






「…あっ…待って…。」

呼び止める声に気付かず、私は足早に歩き出していた。