夜の京都は危険だ。


頭ではわかっている。


わかっているのに、屯所を飛び出した。



どれだけ走っただろう。


気付けば川にきていた。


土手にある大きな樹の下に膝を抱えて座り込む。



「うっ………うぅっ…。ひっくっ…!」



あたしは顔を膝に埋めて泣いた。


後悔と罪悪感が、ただひたすらに心を侵す。




その場でどれくらい過ごしたのだろうか。


そんなに長い間ではなかった。


もう涙は止まっていて、樹に寄り掛かり月を見上げていた。



「また……皆さんに迷惑かけちゃった……。もう、帰れないかなぁ〜……。」



そう呟き、目を閉じた。



「そう思うんなら、最初から出て行かなければいいだろう?」


誰…?


うっすらと目を開く。


「随分捜したよ、真奈美さん。」


「近……藤、さん…?」


近「私だけじゃないさ。皆もいる。」


瞳を動かすと斎藤さん、平助君、永倉さん、原田さんがいた。


「皆……さん。」


近「さぁ、そろそろ歳も山南君も帰ってくる。屯所に帰ろう。」


あたしの目から涙が零れた。


「帰って……いいんですか?勝手に…飛び出したあたしが……。」


近「勿論だとも。さぁ、帰ろう。」


皆を見渡す。


皆、笑っていた。


「………はい……!」




その後は記憶が曖昧だ。


でも、自分の布団で寝ていることに、安心した。