「出張ですか?」


ある日の夜。


「あぁ。明日から山南さんと一緒に大阪に出張なんだ。」


寝る準備をしていると土方さんが部屋にきてそう言った。


「そこでなんだがな、真奈美はこっちに残ってて欲しいんだ。」


「!!……どうしてですか?」


あたしはびっくりして土方さんを見上げた。


そんなあたしの頭をぽんぽんと叩き、続けた。


「俺のいない間、ここで俺の代わりをしてほしい。」


「代わり…ですか?」


「あぁ。近藤さんの面倒だったりな。」


その言葉に思わず笑ってしまう。


「近藤さんの面倒って……。逆にあたしが近藤さんに面倒かけちゃう方ですよ?」


「それがそうでもないかもだ。とにかく、俺がいない間も皆に旨い飯食わせてやってくれ。」


そう言われちゃうと断れない。


「わかりました。気をつけて行ってきて下さいね?」


「あぁ。」


そして、土方さんは部屋を出て行った。




この出張で、山南さんは左腕を怪我する。



あたしはそれが言い出せなかった。