「や………だ……っ!」
怖い…。
あたしは頭を抱える。
見てない、見てない。
あたしは何も見ていない……。
足の力が抜ける。
その場にドサッと座り込む。
「おい!真奈美?」
土方さんに声をかけられても、反応出来ない。
だんだんあたしの呼吸が荒くなる。
「いやぁ………。」
呼吸を整えようとするけど、逆に荒くなるばかりで。
当たり前だと、こっちに来てしまったときにわかっていた筈なのに、いざとなると理解が出来ない。
沖「土方さん。真奈美ちゃん、かなり混乱してますよ。近藤さんもいますし、ここは僕らに任せて先に帰って下さい。」
土「あぁ。すまねぇ。」
2人の会話も聞こえていたが頭に入らない。
土「真奈美。戻るぞ。」
その声に頭をあげる。
土方さんはあたしの前にしゃがんで、現場が見えないようにしている。
「はぃ………。」
掠れた声しかでない。
立とうとしたけど足に上手く力が入れられない。
自分の足を叩く。
そね手を土方さんに押さえられ、抱き上げられた。
土「足に力が入らないのも無理はない。しっかり捕まっていろ。」
あたしはただ、頷くことしか出来なかった。

