それから夜中まで呑んでいた。
帰り道、歩きながら喋るうちに酔いが覚めてきて、夜中だから静かに道を歩いていた。
橋に差し掛かった時、男の人の喧嘩する声が聞こえてきた。
「夜中なのに、言い争いの喧嘩…。」
あたしがそう言うと皆止まってそっちを見ていた。
不意に沖田さんが呟く。
沖「言い争いで済めばいいんだけどね…。」
「えっ………?」
沖田さんを見上げると、ずっとそっちを見ていて、顔を歪めた。
あたしが喧嘩している方に視線を戻すと、どちらも刀を抜いていた。
山南「まずいですね。」
永「そうだな。」
原「行こう。」
皆で走りだした直後―――――
片方の人が相手を斬った。
斬った………?
殺した…?
それでも皆は走って行く。
あたしの足は止まってしまった。
こういう殺し合いが当たり前の時代。
わかっているのに、心臓が恐怖バクバクいっている。
足も震えてる。
雪の積もった地面に広がっていく、斬られた人の鮮血。
怖い―――
斬られた人がこっちを向いていた。
それがまた、あたしを恐怖に陥れる。
「ぁ…………。」
声が出ない…。
鮮血がどんどん広がってくる。
足元を見ると、すぐそこまで血が迫ってきていた。
白から真紅に変わっていく。
「ぃ……ゃ……。」
認めたくない。
信じたくない。
これが現実だと。
でも現実で……。

