それからまた、忙しい毎日が始まった。
冬も本番に入り、いっぺんに2回分の冬を過ごすようなかんじがして、ちょっと変な感じだ。
外でやる洗濯は1番きつい。
「うぅー……。冷たい…。」
勿論、洗濯機があるわけでもなく、井戸水で洗濯。
でもこれがあたしの仕事。
洗濯する手を止めて、手先を見ると真っ赤だった。
「未来は、こんなに寒くないもんね…。冬はお湯で手とか洗ってたし、肌もびっくりしちゃうかな?」
そんな独り言を言う。
空を見上げると今にも雪が降りそうな曇り空。
まだ冬に入ってそんなに経っていない。
「雪…降るのかなぁ…?」
あたしが呟いて空を仰いだとき、縁側に人影が見えた。
「土方さん?」
「今気付いたのか?ずっとここにいたぞ。」
「えぇっ?!全くわかりませんでした。……独り言も聞いてました?」
「聞こえてた。」
……………恥っ!!
「ちょうど洗濯が終わった頃だろうと思ってな。」
「え?あぁ、まぁ。あとすすげば終わりです。」
「………」
「土方さん?」
急に黙り込んでしまった土方さんの前に行く。
すると自分の来ていた羽織りを脱いであたしの肩にかけた。
「土方さん?これじゃ、土方さんが風邪ひいちゃいます。」
「そう心配するなら、お前が最初から何か羽織れ。それじゃこれからは寒すぎる。」
「……ありがとうございます。」
そう言った時―――
「あっ………。雪…。」
ちらちらと雪が降り始めた。
「この量だとすぐに積もる。早く洗濯終わらせて部屋に戻ってこい。」
「はいっ!」
そう言うと、土方さんはあたしの頭を撫でて、部屋に戻った。

