「土方さん……。あたし、未来に帰りたくないです。」
いつのまにかそんなことを口走っていた。
土方さんは驚いた表情をしていて、はっと我に帰る。
「いっ、今の忘れて下さい!」
土「なんでだ?」
「いいんです!なんでもありません…!」
あたしは勢いよく上半身を起こした。
「ぃっづ……。」
当然、頭に痛みが走る。
土「おい!まだ起き上がるな。寝たままでいい。話して、くれないか?」
土方さんはあたしを布団に横に寝かせ、あたしのおでこに冷たくなったタオルをのせた。
「ひとりぼっちなんです。未来《あっち》に戻っても。」
土方さんはあたしから目を逸らさなかった。
「あたしがお母さんに迷惑をかけたから、お母さんは出てっちゃったんです。だから、迷惑はもう誰にもかけたくなかったんです。」
土「頼れる人はいなかったのか?」
「はい。頼ればまた、お母さんみたいに離れていくんです。だから……甘えていいって言ってくれたのは、土方さんが初めてなんです。」
そう言うと、土方さんがあたしの頭を撫でた。
土「そうか…。それは辛かっただろう。だから真奈美は未来に帰りたくないのか。」
「でも、それも迷惑ですよね。」
土「いいや。帰りたくなければ、無理に帰ろとは言わん。……いや。帰らないでほしい…。真奈美にはここにいてほしい。」
「えっ……?それって…。」
そんなこと言われちゃうと、期待しちゃいますよ?

