沖田さんは、魚をひっくり返しながら静かに聞いた。
沖「もしかして、戻りたくない理由でもあるのかい?」
あたしはご飯をお茶碗にのせている作業を止めた。
図星だったから。
「まぁ…そんなところです。」
沖「悩み事かな?何か悩みがあるなら、土方さんに相談してみなよ。真奈美ちゃんの相談なら土方さん、真剣に聞いてくれると思うな。」
「土方さんに、ですか……。」
でも、あたしなんかの事で時間が裂ける程暇ではないはず。
「迷惑がかかっちゃいますから……。昔から、迷惑をかけるなと、親に教えられてきたから…。」
すると、沖田さんがあたしの方を向いて、ぽつりと呟くように言った。
沖「…君の大人っぽさは、その悩み事と親の教育のせいかもね……。土方さんなら大丈夫だよ。」
あたしは何も答えずに、ただ、笑いかけた。
「……さっ!沖田さんの魚も焼けたし、斎藤さんが作ったお味噌汁も出来たし、運びましょ?」
あたしが笑顔で言うと、沖田さんも斎藤さんも笑って応えてくれた。

