なんの手紙だろう…。
「真奈美?」
「えっ?」
後ろから名前を呼ばれ、振り返ると土方さんがいた。
「今、誰かと話してたのか?」
「ああ……。以前お世話になった先生のお弟子さんの清大<せいた>君ですよ。先生から土方さんに手紙を預かってきたと…。」
「手紙?……総司のことか?」
「わかりません…。」
あたしは土方さんに手紙を渡した。
「今じゃ暗くて読めねぇな。明るくなってから読むとしよう。」
「そうですね。」
土方さんは手紙を懐にしまった。
「そう言えば、真奈美はこんな時間に起きてんだ?まだ夜中だぞ。」
「そう言う土方さんだって、お疲れなんですからもっと休んで下さい。」
あたしは土方さんを見上げて言った。
土方さんは小さく息を吐くと、その場に座った。
そして、立ちっぱなしのあたしの手を引っ張った。
「きやっ…?!」
あたしはバランスを崩し、土方さんに倒れかかる。
土方さんは器用にあたしの体に腕を回すとあたしを抱きしめた。
「土方さん?」
「なんで起きたんだ?」
さっきと同じ質問をする。
「…夢を、みたんです。」
「悪夢でもみたか?」
あたしは頷いた。
「そうか…。」
それっきり、土方さんの声は聞こえなくなった。
かわりに規則正しい寝息が聞こえてきた。
「おやすみなさい…土方さん。」

