じゃあ、あの女の子達にはナンパされたということ?
嬉しいような、嬉しくないような。
なんだろう、この複雑な気持ち……。
でもなんで着替えてないんだろう。
あの場には江坂奏もいたはずだから、気づきそうなもんなのに。
そこでふと何かに気付いた。
……ちょっと待て私。
私は頭の中で時間を遡る。
江坂奏は、私をそのまま帰したよね?
ということは、この恰好のまま帰ることを知っていたということだ。
「わぁっ」
本当になんなんだあいつ!
知ってたんなら言えよ、お知らせしろよ!
今考えると凄く恥ずかしい。
はっ!
そんなことより一刻も早く制服に着替えよう。
このままじゃ、家にも帰れない。
あれ?
……制服。
「嘘でしょっ」
そもそも、この恰好に着替えてから、制服を受け取っていない。
確か、ハンガーに掛けたままのはずだ。
「ハハハ」
渇いた笑いが空に響く。そこでふと思い出す。
――また、明日ね。――
成る程。
江坂奏のあの言葉は、私が明日制服を取りに来ることを確信していたからこそだったのか。
江坂奏は相当頭がキレて、尚かつ卑怯だ。
もう色々と頭にきた。


