しばらく走り、私は公園に辿り着くと、ゆっくりと息を整えた。
怖かった。
下手したら犯罪者になってたよ…。
そう考えてぶるりと身震いした。
恐怖か疲れたのかは分からないが足がガクガクしてきた。
近くにベンチがあったので足を庇うようにして座る。
いつの間にか空はオレンジに染まっていて、ぼんやりと赤に塗りつぶされたブランコを眺めた。
もうこんなに時間が経ってたのか。
今は何時くらいなんだろう。
夕焼けが見えるということは、日が長い今は夜の7時くらいかな。
ぼんやりと景色を眺めていると、
「お兄ちゃん遊ぼ」
と、近くで男の子の声がした。
こんな時間に子供がいるなんて親は何をやってるんだ。
でもお兄さんがいるなら、まだ安心だろう。
そう考えていると、
「おにーちゃんってば!」
腕をぐいと引っ張られる。
え、私?
引っ張られた方向を見ると、小学生中学年ぐらいの男の子が私を見上げていた。
「え、君。今なんて?」
「だから、お兄ちゃん遊ぼう!」
そう言って私を指さす。
一瞬思考が停止した。
なんでお兄ちゃん?
そういえば。
私は江坂のお姉さまに着替えさせられたことを思い出す。
その恰好は確か、学ランにショートヘアのウィッグだった。
その後は、着替えをしていない。
「ぬおぅっ!」
突然奇声を発して、私は頭を抱えた。
スカート穿いてないじゃん!
どうにも暑いと思った。そりゃ暑いはずだ。
っていうか気付けよ私!


