奴らがいつ戻ってくるかわからない。


俺が捕まったら、あの人がどうなるか。

考えるだけでも吐き気がした。


その為には、なんとしても逃げ切り、あの人の所に戻らなくてはならない。

そして、あの事を伝えなくては。


その為には、少しでも急ぐ必要がある。
奴らに勘ぐられる前に。


運がいいことにも、俺の出身はかなりの田舎でこんな山道は屁でもない。


しかも、ここら辺は調べに調べ尽くした。

都会のことなら奴らには敵わないが、ここでなら俺の方が有利だ。



俺は焦る気持ちを抑え、まだ熱気に包まれた夜の町へ向かって駆け出した。