「…いないっ!」



…いないっ!

どこ、亮…?




「…はぁはぁはぁ…」

走りすぎて苦しいっ。



膝に手をあてて下にしてた顔を上げると、ファーストフード店から出て来た亮がいた。



「あっ…りょ…」


そして隣には朝見かけた綺麗な先輩がいた…。



楽しそうに笑いながら歩いている。



…あたしはそんな亮を呼び止めるのをやめた。



「…彼女いたんだ…」


もしかしたら朝見かけた時告白されていたのかもしれない。



そうだとしたら、つじつまが合う。



…彼女ができたのに幼なじみなんかとは一緒に行けないよね…。



ははは…本当にあたしバカだなぁ。


もうちょっと先に告白してれば良かった。


…もう告白すらできないじゃん…。



…彼女いるんだから…。



やっぱり幼なじみの関係は越せないんだね。



“初恋は実らない”って本当なんだね…。




「ふ…ぅっ…」


もう我慢できないよぉ…。


「…り…りょぉっ…りょお…りょっ」



「何…?」


あたしのぼやけていた視界が暗くなった。


しかも今一番聞きたい声が聞こえた。


「…りょぉ…?」


顔を上げられないあたしは声を絞り出した。



「…はぁ…おいっ、顔上げろよ」