さっきより、小降りになってきた雨。

しかし、冷えている。
美空は、30分以上雨宿りをしていた。

「もう、帰ろっかな?」

だいぶ、止んだし。そう付け加え屋根から一歩出た。

そして、マンションの前まで走った。

「ふぅ~。…ん?」

美空が見たのは、黒くて細長い、猫のような尻尾。
そして、ぴょこぴょこ動きだしそうな猫耳。

体育座りをしながら伏せている人。

……「人?」

ピクン!

美空の声に反応して顔を上げた。

男の子で、イヤっ、この場合オスと言うべきだろうか。

10代後半の可愛い顔をした、黒づくめの少年。
美空と同じ年ごろだろうか?

美空は、さっきから視線を感じるほうを見た。

「うっ・・・」