私は幸せだった。

君に出会えて、心から神様に感謝した。

 君は幸せだったのかな…。

最後に君へ言いたかった…『ありがとう』って…。


私の住む家は山中の人気の無い所にひっそりと

たたずんでいる。

そこへ3ヶ月程前、君はいきなりやってきました。

  『道に迷った。今晩だけ泊めて欲しい』って。

このまま追い返すのはあまりにも酷だと思い私は君を

一晩だけ、という約束で泊めてやることにしました。


そもそもそれが大きな間違いだったのでしょう…。

君が家に来てからもう…3ヶ月もの時間が経ってしまいました。

あの日、私は君に惚れてしまったのです。

それは君も同じだったようですね…。



    だけど…君は2日前、突如姿をくらました。

その理由ははっきりと分かっています。

ソレは2日前の事です。

私の家へ1人の男が、尋ねてきました。

『道に迷ったので今晩だけ泊めさせて欲しい』と言いました。

私は断りました。

ふもとに住む人間に知られたくなかった。

『君』がうちに居る、という事を。

だってもしも、君の両親に居場所がばれてしまったら

きっと迎えに来るでしょう…?

そして君は…帰ってしまうのでしょう…。

男は何度も何度も頼んできました。

だけど私は断った。

すると男はいきなり、持っていた猟銃を私に向けて発砲したのです。

弾は私の腕をかすり、玄関の壁へ突き立ちました…。

私は胸の奥から湧き出る冷たい、冷たい怒りに身をまかせ、

君が後ろに居ることにも気が付かず…

男に冷たい、口付けをしたのです…-。