「ただいま、おばあちゃん」
菜々ちゃんはお祖母ちゃんの部屋に飛び込んで行きました。
そしてベッドに寝ているお祖母ちゃんに
「ほら、さくらのはなびらだよ。きれいだよ」
ビニール袋から花びらを取り出して、お祖母ちゃんの手の平に乗せました。
お祖母ちゃんは…
花びらが乗っている手を…握りしめました。
「ママ!…おばあちゃんが!」
無意識の反応だけど、そんな小さな事にもママと菜々ちゃんは大喜びです。
「ママ、おばあちゃん笑ってるみたいだね」
「そうね。きっと夢の中でパパやママ、菜々ちゃんとお花見してるんでしょうね」
「はやくおきて、ほんとのおはなみができたらいいね」
お祖母ちゃんの顔を見ながら、いつか本当に目覚めてくれる日が来ると信じて待っている二人です。
その日がいつか来ることを…
信じて…
*終*