「僕の大切なシャロル。この腕に戻ってきてくれて、良かった。」


「ジル、ごめんね。あたし、どうしても外に遊びに行きたかったの。」


「うん。僕も君を閉じ込め過ぎたかもしれないね。だけど、不安だったんだ。君が・・・君までもが、僕を置いていくんじゃないかって・・・。」


「あたしまでも?」



顔だけ上げてジルを見ると、ジルは寂しげな瞳でシャロルを見つめ、それから触れるだけのキスをした。



「シャロル。僕は、ずっと秘密にしてきたことがあるんだ。」


「秘密?」


「うん。これから、僕の過去を話すよ。シャロルなら、受けとめてくれるよね?信じて、いいよね?」


ジルはシャロルを抱きしめながら状態を起こした。



シャロルは頷いた。



ジルはベッドの端に腰掛け、膝の上にシャロルを座らせると、話し始めた。




「僕は、ある国の貴族の家に生まれたんだ──────・・・・



ジルの家は大層なお金持ちだったが、夫婦仲は円満とは言えなかった。


けれど、ジルが生まれて2年が経つ頃に、女の子、つまりジルの妹が生まれた。


妹はとても可愛かったため、両親も妹にベッタリで、その頃から、夫婦仲も良くなっていった。


しかしそれと比例して、両親のジルへの態度が一変した。


両親はジルを放って、妹ばかり可愛がるようになったのだ。