Perfume〜時の調香師〜

「ローズ‥」

ボソッと名前を出してしまった

「おや…おまえサンはあん時の‥」


後ろには薔薇を持ち老婆が立っていた


「あ…すいません…おれ急いでるんで」

今は老婆にかまう暇はない。いそいでローズの下へ‥‥


「ローズ姫の所へいくんだろう?」

急いでいた足が止まった。

「え‥‥?」


「このバラ園はローズ姫のためにあるんだよ。王妃様が、種をまき何年も枯れないよう世話をし、目覚めることを祈り‥‥本当に愛していたんだよ。」


「ローズ‥‥」


俺は走った。あの荊の城へ




カッン―カッン―カッン

「いた‥ローズ、いやローゼン姫」


ここに来たときもう荊はなかった。そして俺のあげた香水の臭いが充満していた


心を閉ざしたこの城の中じゅうに


俺はローズの元へいき


「止まった時間、動かしたんだね」


きれいな銀色の髪をなで…そう言った。もう止まってはいない…ローズの時間


「ローズ、あの城にあるバラ園は君のためにと王妃様が育てていたんだよ。君のため‥‥実の娘のために」


俺はコンコンと眠るローゼン姫にキスをした


王子ではないが‥‥