他愛もない話をしながら、私はあることを考えていた。


時間が経つにつれ、どんどん観覧車の乗り場が迫ってくる。


「三名ですか?」

笑顔でそう聞く女性の係りの人に遥がはい、と答えた。


すれ違い様に、その係りの人を捕まえる。


「あの、お願いがあるんですけど…」


係りの人は不安そうに

「は…はい…」

と答えた。


私はハルキと遥に気づかれないよう、係りの人の耳元で“お願い”を伝えた。