凪は波の手を取り歩く。

「波、この世界は二人だけになったね。」

「ええ、凪、二人だけよ。」

薄く白く続く世界を、見つめる二人。

「波、ここは世界の果てなのか?」

「ええ、凪、そして世界の始まりでも有るのよ。」

無表情の波の瞳から一滴涙が流れる。

ふわり、ふわり。

漂う水球に凪が息をを吹きかける。

ゆらり、ゆらり。

沢山の涙と風と二人。

いつしか白い世界に色ができました。

いつしか色の有る世界に命が出来ました。

そして、いつしか世界に二人は融けて行きました。

ずっとずっと昔。

どこかの世界の始まりの話しです。