hair salon 『K』


麻百合さんは

「言ってやるもんですか‼」

と、いたずらっぽく笑った。


「気になります…」


「悔しいから言わないわ。あなたはずっとくすぶってればいいのよ」


「ど、どういうことですか蒼井様」


「……その『蒼井様』ってやめてくれない?頭の中では私のことなんて呼んでるのよ」


「…麻百合さんです」


「じゃあそれでいいわ」


「いいんですか?」


「ええ。ところで、あなた自分の噂知ってる?」


私の噂…?

知りません、と首を振ると


「知らない方がいいかもね。変にプレッシャーになったら困るわ。


…じゃあ帰ります。髪を切っちゃったから、今度来るのは大分先になっちゃうけど…」


「お待ちしております。」


「最上さん、色々頑張ってね」


「はい、ありがとうございます‼」


「…深く考えず受け取ったわね…」


麻百合さんは少し微笑みながら、歩いて行った。


その背中を見送り、私は店の中に戻る。