その頃、中貴原は正面玄関にいた。

行くあてもなかったが、いつもすみれを送り迎えするあの車が玄関にいた。

ドアをコンコンッと叩き、聞く。

「あの、すみれは?」

「すみれお嬢様は、まだいらしてません。」

「えっでも教室、いないから帰ったはずだけど?」

「……」

執事の顔が曇った。


(なんかおかしい…ι)

すかさず携帯ですみれの居場所をGPSで探す。


そこには…ダイアゴン横町の『カラオケの達人』の文字が。

やっぱりおかしい…


すみれがカラオケなんて行こうと思うはずがない…。


中貴原は全速力で走り出した。