その日から、
私は中貴原と一言も話せなくなった。

馬鹿なバトルもできない。
目を合わすことさえもできない。
顔だってまともに見れない。



あたし、寂しいよ。

いつもみたいにバカみたいに中貴原としゃべりたいのに。

笑っていたいのに。


こんなに近くにいるのに、昨日よりもさらに中貴原が遠く感じる。

あたしが中貴原を傷つけたという事実に、
小さく胸が疼いた。


数学の時間。
隣の席で寝てる中貴原の横顔を盗み見ながら、すみれはふと思った。





─すみれはまだ、この胸の疼きの正体をまだ知らない。