放課後、誰もいない教室にすみれはいた。

「ガラッ」

そこに入ってきたのは制服姿の中貴原だった。


「…Σ…中貴原!あれっ?、部活じゃないの?」


「ああ、これからな。呼び出し、されてた。」


「えっ今日何回?ちなみにあたし今日5件。」


「ふっ。俺の勝ちだな。今日6件~♪」

「ムッ負けたあ~」


「あっそうだ。その女にすみれと付き合ってんのかってきかれたよ。」


…………………………………………………


「…あっ「あははは!」


沈黙に耐えられなくなったので
中貴原がなにか言いかけたけどそれを遮る。


「付き合ってんのかって?毎日バトルしてるくらいなのにね。そんな風に見られてたなんてね。笑っちゃうよほんと」

……

「第一私、レンアイとか、できないの。興味ないの。私に近づいてくるヒトは、みんな私の表面しか見てないもん。」


「…ちゃんといるよ…。ちゃんとすみれの事、見てるヒト…



「そんなの…そんなの綺麗言だよ。夢物語だよ。だって実際、いなかったもん。」

……


「私の事可愛いって、イイナって。みんな言うけど、そんなにうらやましいんならいつだって顔、交換してあげるよ!顔良くったって、幸せのかけらもない。性格は超ひねくれてて最悪。 誰もなりたいなんて思わないよね…。」



もう半分泣き叫んでいた。
それでも中貴原は静かに、でもちゃんと聞いててくれた。

「私、モデルの仕事、やってんの。モデルやってるとね、私と同じくらいのレベルがゴロゴロいるの。」

「でもね、みんな夢があるの。トップになる、っていうね。だけど..私にはそんな欲が出てこないんだ。モデル界でもそんなんなの。もう私利用されるだけの人形でしかないから。」

……


「取り乱しちゃって、ごめん。 あたし、最悪。 幻滅、だよね。」


そういうと、すみれは逃げるように教室をあとにする。



「…そんな事で幻滅しないっつうの。」

遠くなったすみれの背中に向かって、中貴原は小さく呟いた。