「安心して。たしかにあんた可愛いけど、ぶっちゃけ苦手。恋愛対象としてなんか全く見てもいないから。」

……

「…ふーん。ねえ、今ものすごーくぶっちゃけたかんじだね。あなたの外面、超鉄壁。」


「今あなたに苦手って言われたけど、あたしはあなた、結構スキよ。あたしを恋愛対象に入れない所が特にね。」

………


「そんなあんただったら、別に苦手じゃないかも。」

中貴原がボソッと呟いた。

「スキ、とか言われてもなんか全然嬉しくないや。なんでだろ。」

「そんなのわかりきった事じゃない
あなたがあたしの恋愛対象内に入ってないから、でしょ。てか、あたしが恋愛するとか絶対有り得ない事だし。」


「…てる…。」
中貴原がなんか呟いた。

「えっ?」


「だーかーら、俺ら似てるね。
容姿といい外面の鉄壁さ、とかさ。」

「ふっ」

あたしは鼻で笑う。
たしかに、たしかに中貴原とは同じニオイがする。

中貴原もあたし同様、
その容姿のせいで幼いときからちやほやされつづけていたのであろう。

そうやって社交辞令を身につけ、
今の鉄壁外面が完成した…と。

おまけにその容姿のせいで迫られることが多く、恋愛ベタに陥った…

ってゆうのは余計か。笑

なんか本当の友達ができたみたいで、
素直に嬉しかった。

いつからこんな単純になったんだろう。

わたしの顔には、素直に嬉しく笑みが浮かんでたらしい。

「もともと可愛いけど、その顔の方が100倍可愛い。」

そんなことをさらりと言う中貴原に心底驚いた。
「じゃあ俺、筋トレ始まるから」
と言って教室から出る。

「うん、バイバイ。」

私は廊下の先の大きな背中に呟いた。