急いで突き放し、距離をとる。




「それに、何でそんな格好を?」



信じられないけど、同一人物なんだ・・・。



あんなに派手な容姿だったのに真逆のシンプルで爽やかな容姿に!?




「そんなの答えは一つですよ!センパイに好かれたいからです。」




後半を強調しながら顔を近付ける橘くん。



あたしは反射的に退いた。



しかも何なの、そのきちっとした敬語のうえにスマイル。



あたしが動揺して立ち尽くしていると




「先輩、素敵ですよ!」

「え?」




すぐ隣に視線をやると、一年生何人かが目を輝かせて立っていた。



「美男美女の素敵なカップルですよ。その上橘先輩は凄く誠実そうになりましたし。」


「ちょっとちょっと、俺はもとから一途だから!」


「じゃぁ何でタラシなんて呼ばれているんですか?」



それを聞いた途端不貞腐れたような表情を見せた橘くん。



そんな顔を見てあたしはつい吹き出してしまった。