だって今まではそのイメージでモテてたんだからさ。



「雪を他の女の子と一緒にしないことね。彼女、一回好きな人に"お前男みたいで守りたいと思わない"って言われたことがあるから。」



うわ――、そいつ殴りてえ


拳を握り上げる俺を無視し続ける志緒先輩。




「でも雪は────」



《自分の素を曝け出せる相手が本物だから、今度恋をする時は、あたし以上に男前で逞しい人がいいな。》


「って言ったの。・・・あたしは雪に本当の恋をさせてあげたい。恋はすごくいいものだって教えてあげたい!」



そう言って頼むような眼差しを俺に向ける志緒先輩。



「だから、あなたが本気ならあたしは力になる。だけどもしも本気じゃないなら今すぐ止めて。もうあんな想いを雪にしてほしくないから。」




あぁ・・・きっと雪センパイはそれがトラウマで恋が出来ないんだ。



頭から、上手くいかないと



男みたいな自分を本気で愛してくれる人なんていないと思っているんだろう。




それなら、俺がセンパイのトラウマを治してみせる。


俺はセンパイを初めて見たときから男だなんて思ったことがない。



あんなにキラキラしている女の人は初めて見た。



近づきたい
話したい
笑ってほしい


好きになってほしい─────




日々強くなる想いは止められなくて


自分でもどうしてこんなに好きなのかよくわからない。




でも一つだけ言えるのは
何かに一生懸命な姿はとても
素敵だということ。



そして偶然俺の心に飛び込んできたのがセンパイだったということ。



いや、必然だったのかもしれない。



演劇に対する思いが強くてキラキラしていて瞳が離せなかった。



いつしか、それを俺に向けてくれないかと思うようになっていたんだろうなぁ・・・