そういうと結維は大きく首を振った。



「ううん。お医者さまなんだから仕方ないよ。忙しい時だったからあたしなんかに気を配らないで患者さんに集中してほしかったの。」



結維………


結維は僕のことをそこまで考えてくれてたんだね。



「ありがとう。結維。」



僕は自分が情けなくなった。自分のせいで結維はずっと



一ヵ月もの間悩んでいたと思うと、もっと早くに気付いてあげられれば……



「神田さん。どうかご自分を責めないで下さいね。それにもう犯人は見当ついているんです。」



「えっ?だ、誰なんですか?」



「うちによく来てたお客さんなんだけど…」


言うのを躊躇っている結維。



「神田さんと会う前から結維を気に入っていたお客様がいたんですけど…前に店が襲われたのを覚えていらっしゃいますか?」


「えぇ……まさかその時の?」



あの時はまだ結維と出会ったばかりの時だったな。



花を買いに行ったら、メチャクチャの店で結維が今にも泣きそうな顔で立っていた。



「はい。あれ以来うちに来なくなったので。」



「……結維はその人に気に入られてるって感じてたの?」