「神田先生!今日もお見事でした。」


「さすが先生!」



「いえ、皆さんの協力があってこそですよ。」



今は、夜の9時。


入院していた患者が急変したため手術をして、ようやく終了した。



「それじゃぁ、僕はこれで。」



あとに残った先生方に挨拶をして走って玄関に向かう。



が、途中引き止められてしまった。




「あ、神田先生!もうお帰りになるんですか?」


僕よりも一つ上の看護師の夏貴さん。



「えぇ、家で彼女が待ってるんで。」


多分…………



「そうですか!じゃぁ早く帰らないといけないですね。お疲れ様です。」



「お疲れ様です。」



僕は軽く頭を下げすぐに走りだした。



─────………‥‥


マンションの駐車場から部屋を見上げると、明かりがついていなかった。



はぁ―………

遅かったか………

期待していた分、ショックだった。




「ただいまぁ……」


誰にも返事をしてもらえないて虚しいな………



カチッ


部屋の電気をつけると、テーブルの上に置いてあるメモに気付いた。



{遅いみたいだから、帰るね。
結維。}



遅くなっても泊まっていけばいいのに……